アトランティス、超古代文明、オーパーツ……。これらの言葉に心躍らせた経験がある人は多いだろう。しかし、これらは、どれほど真剣に興味を持ったとしても、実体がつかめない幻のような存在だった。やがて、ほとんどの人は、夢から覚めたように、熱意と興味を失っていった……。
しかし、アトランティス伝説が持つ神秘性は、それでも人々を惹きつけ続けた。そして、とうとう、考古学上の『証拠』が発見され、アトランティス伝説がプラトンの創作では無く、史実だった事が証明されたのである。
・アトランティス実在の証拠は、あの有名な古代遺跡。
アトランティス実在を証明した遺跡は、イギリス南部に存在する先史時代の遺跡である。その遺跡は、1986年に世界遺産に登録されており、謎の遺跡として世界的に有名である……。
もう、お分かりだろう。アトランティスが実在した証拠が隠されていたのは、なんと!あの『ストーンヘンジ』だった!
ストーンヘンジ遺跡は、「環状列石(ストーンサークル)」に分類される遺跡で、中央部に高さ6m〜9mの巨石が何本も立ち、その外側に高さ4mほどの巨石がサークル状に立ち並んでいる。作られた目的は、天体観測用に作られたという説がよく知られている。しかし、この説は定説にはなっていない。なぜなら、巨石の位置関係を詳しく調べると、天体イベントとほとんど無関係という事が分かっているからだ。
ストーンヘンジが作られたのは有史以前で、作られた当時の記録はもちろん何も残されていない。ストーンヘンジが作られた目的は、天文台の他にも、太陽信仰や古代の祭司の礼拝所など諸説あるが、どれも決定力に欠け結論は出ていなかった。
ストーンヘンジは、ストーンサークルとして世界最大級であると同時に巨石の形と配置に特殊性があり、その異様な光景を見た人は、誰もが「いったい誰が、何のために、このような遺跡を作ったのだろうか?」と訝しがり、遥か遠い古代に思いを巡らせるのだった……。
謎の多いストーンヘンジだが、これまで何度も行われた発掘調査により、多くの事が分かっている。ストーンヘンジは、約5000年前に作られ始め、その後に何度か改築され、約3500年前に現在のような姿になり、その後も使われ続けていたようだ。
周辺からは、埋葬された人骨が数多く発見されている。さらに、大規模な集会の痕跡がある遺跡も発見された。発掘された人骨を調べる事で、ストーンヘンジに集まった人の出身地がおおよそ分かる。そこからは、遠方から来たと思われる人骨が多数見つかっている。彼らは、いわゆる巡礼者だったと考えられているが、中には1,000kmも遠く離れたアルプスの麓から来たと推定される人骨も見つかっているのだ。
これらの状況からストーンヘンジは、遠方からも人を惹きつける『特別な墓地』のような場所で、しかも、大勢の人々が集まる『祭祀的』な意味を持っていた事は確実とみなされている。しかし、祭祀施設だとしても、巨石を並べた理由が大きな謎として残った。巨石は墓標にしては異様すぎ、その配置や形には、何らかの特別な意味があったと考えられていたからだ。
ストーンヘンジは、古代人が何千年も守り続け、遠方まで知られた巨大で特別な祭祀施設である。そのさまは、まさに『聖地』と呼ぶに相応しい。文字を持たず、明確な宗教すら無かったはずの先史時代のヨーロッパ住人を、これほどまでに惹きつけたストーンヘンジの存在意義は、いったい何だったのだろうか?
遠く離れた場所から巨石を運び、不思議な形に並べ、そこで何千年も守り続けた祭祀とは、いったい何だったのだろうか?
この、ストーンヘンジの持つ大いなる謎が、古代へのロマンをかき立て、世界中の人々を惹きつけて止まなかった。
・ストーンヘンジに隠されていた秘密とは。
これから、ストーンヘンジの持つ『大いなる秘密』を解き明かす。それには、ストーンヘンジの構造の再確認が重要である。現在のストーンヘンジの上空写真が(図1左)で、発掘調査によって分かった原型に近い構造の図面が(図1右)である。
図1 左:上空写真(Google Earthより)、右:発掘調査図(Wikipediaより)
発掘調査図(図1右)の、黒い小丸が石が埋まっていた跡で、白い小丸が木の杭が埋まっていた跡になる。木の杭サークルの外側には、地面を掘ったサークル(空堀と呼ばれている)も作られている。上空写真(図1左)では分かりにくいが、ストーンヘンジには巨石のサークルだけでなく、その外側に石や木や、溝で作られたサークルが、同心円状に幾重にも作られていた。
説明を容易にするため、これらのサークルに名前を付ける(図1B)。
図1B ストーンヘンジの同心円状のサークル(S0~S4)
S0 ……………地面に巨石を立てて並べたサークル
S1 ……………石が埋まっていたサークル
S2 ……………石が埋まっていたサークル
S3 ……………木の杭が埋まっていたサークル
S3’ ……………空堀の内縁サークル
S4 ……………空堀の外縁サークル
現在に伝わるアトランティス伝説は、古代ギリシアの哲学者プラトンが書き残した書物から始まっている。そこには、アトランティスの中心部には、3重の環状運河が存在していたと書かれている。(注 【】内はWikipedia『アトランティス』より引用)
【アクロポリスのあった中央の島は直径5スタディオン(約925m)で、その外側を幅1スタディオン(約185m)の環状海水路が取り囲み、その外側をそれぞれ幅2スタディオン(約370m)の内側の環状島と第2の環状海水路、それぞれ幅3スタディオン(約555m)の外側の環状島と第3の環状海水路が取り囲んでいた。】
これを簡単な図で表す(図2)。
図2 アトランティスの3重の環状運河(水色が運河、白色が陸地)
アトランティスの環状運河にも名前を付ける。
最も内側の環状運河…………第1環状運河と呼ぶ
中間の環状運河………………第2環状運河と呼ぶ
最も外側の環状運河…………第3環状運河と呼ぶ
このアトランティスの環状運河が、ストーンヘンジの幾重もの同心円と、極めてよく似ている事にお気付きだろうか?
この一致を、ストーンヘンジと環状運河を重ねた合成図(図3A)を使って説明する。
図3A ストーンヘンジとアトランティスの合成図
・第1環状運河のサークル(C1、C2)が、ストーンヘンジの石のサークル(S1、S2)と一致する。
・第2環状運河のサークル(C3)が、ストーンヘンジの木のサークル(S3)と一致する。
・第2環状運河のサークル(C4)が、ストーンヘンジの空堀の外縁サークル(S4)と一致する。
・第3環状運河のサークル(C5、C6)に一致するのは、ストーンヘンジの草刈り跡で構造物は無いように見える。しかし、この部分を注意深く調べると、サークル状の地面の段差が存在していた(図3B)。この地面の段差を(S5、S6)と名付ける。
図3B 地面の段差によるサークル(S5、S6)
この地面の段差(S5、S6)は、(図3A、図3B)では少々分かりにくいが、地面の高低差を捉えた特殊な写真(図3C)を見れば、同心円のサークルの一部である事がはっきりと分かる。ストーンヘンジから北東へ伸びている線は、参道と呼ばれる道路状の遺構である。
図3C サークル状の地面の段差(S5、S6)
この地面の段差(S5、S6)が、草刈り作業によって出来た可能性は無い。なぜなら、草刈機を使うときは、刈り刃が地面と接触しないように注意し、地面から浮かせて草だけを刈るように作業するからだ。
地面の段差(S5、S6)は、北側の部分に無く南側だけに存在している。しかしかつては、完全な円でストーンヘンジを囲んでいたと考えられる。この、今まで誰も注目しなかった、直径が約200mもある巨大サークルが存在する理由を、天体観測説で説明する事は不可能だ。おそらく世界中の誰も、存在理由を明確に説明できないだろう。
しかし、アトランティスと一致するという説であれば、この消えかけた巨大サークルの存在理由に、完全な説明が可能である。つまり(S5、S6)は、最も外側の巨大な第3環状運河を表している遺構なのだ。
以上のように、ストーンヘンジの6つのサークル状の痕跡(S1〜S6)と、アトランティスの3重の環状運河の6つの同心円(C1〜C6)は、ほぼ完全に一致する。
6つの同心円が偶然に『相似形』になる確率は、あまく見積もって計算しても『0.1%以下』になる。ストーンヘンジが、アトランティスと偶然に一致した可能性は極めて低い。
次に、この相似形の比率と精度を確認する。ストーンヘンジの明確なサークルの直径を測定し、それを環状運河と比較した(図3D)。
図3D C1〜C4の同心円の直径の測定結果(各サークルで4か所を測定して求めた平均値)
プラトンが残した伝説によれば、中心島の直径は925m、第1環状運河の幅が185m、内側の環状島と第2環状運河の幅が共に370mであった。よって比率は次のようになる。
第1環状運河の内縁(C1)の倍率 = 925m:39m = 23.7倍
第1環状運河の外縁(C2)の倍率 = 1,295m:53m = 24.4倍
第2環状運河の内縁(C3)の倍率 = 2,035m:86m = 23.7倍
第2環状運河の外縁(C4)の倍率 = 2,775m:113m = 24.6倍
ゆえに、C1〜C4の『平均比率 = 24.1倍』
アトランティスの環状運河に対し、ストーンヘンジのサークルは『24分の1』に縮小されている事が分かった。古代人が、12や24という数字を特別視していた事はよく知られている。
しかも、平均誤差は『24.1/24=1.00417』になるので『0.42%』であり、極めて正確に縮小されている。この縮小比率も偶然にしては出来すぎで、ストーンヘンジは最初から明確な意図を持って、高度な技術で計画的に作られた可能性が高まってきた。
アトランティス伝説によれば、中心にあった島はアクロポリスで、そこに神殿が建っていたという。ストーンヘンジも、中心部には環状列石と巨石が林立し、神殿をイメージする人も多い。さらに第2環状運河の部分は、ストーンヘンジでも空堀と呼ばれ地面が掘られている。ストーンヘンジは、環状運河という円の構造だけでなく、『神殿と堀』という立体的な構造もアトランティスと一致を見せている。つまり、偶然一致したという可能性は、さらに下がる。
もちろん、偶然一致した確率は理論上0ではないが、これらの数多くの一致が全て偶然である確率を、数学に詳しい人は計算してみて欲しい。おそらく、それは『1000万分の1以下』の確率になるだろう。つまり、ストーンヘンジとアトランティスが偶然一致した可能性は極めて低く、常識的に考えて有り得ないのだ。
《補足 著者がコンピューターシミュレーションで実験したところ、6つの乱数を発生させ、これと一致する乱数群が発生する確率は、個々の誤差を±5%と実物より多めに設定しても「約20万分の1」でした。これは、0.0005%であり、ストーンヘンジとアトランティスが偶然一致した可能性は絶対に無いでしょう。》
・結論。
これまで出てきた情報を整理してみる。
6つの同心円の一致。1/24という比率。神殿と堀という構造の一致。これらの一致は、偶然では有り得ない。
ストーンヘンジが作られたのは、プラトンが生まれるより2000年も前である。プラトンの書物を参考にしてストーンヘンジが作られた可能性も絶対に無い。
ストーンヘンジ周辺には、埋葬地も多くあった。何千年も継続して祭祀や墓地のような目的で使われ、聖地のような場所だった。
これらから導かれる答えは一つだ!
『ストーンヘンジは、アトランティスの慰霊モニュメントである。』
多くの人の「信じられない」という感想は理解できる。しかし「常識的に信じられない」という理由だけで否定するのであれば、それは事実から目を背けただけの現実逃避と言えるだろう。重要なのは、信じる信じないではない。重要なのは、己の知性による理解である。ある程度の知識を持つ人ならば、これらの一致が偶然で説明できない事が、容易に理解できるはずだ。
それでも、まだ疑念を感じている人も多いと思うので、さらなる情報を提供する。一致しているのは、サークルと神殿と堀だけではない。本書の9章において、ストーンヘンジがアトランティスのモニュメントという説に基づいて、アトランティスのアクロポリスをCGで再現する。そこで最初に作ったCG画像が、ストーンヘンジの復元図(図4右)である。
図4 左:ストーンヘンジの概要、右:ストーンヘンジの復元図
ヒールストーンとスローターストーンは、長らく「謎の巨石」と言われていた。しかし、ストーンヘンジを元にした再現図(図4右)を見ると分かるが、これらの巨石が置かれた位置は、参道を外から中心に向かって歩いてきたとすると、「環状島の入り口」にあたる地点である。つまり、ヒールストーンとスローターストーンは、環状島に入るための『門』などを表していると容易に思い至る。ストーンヘンジとアトランティスの関連が発見された事で、ヒールストーンの謎も、あっけないほど簡単に解けたのだ。
ストーンヘンジで特徴的なのは、巨石とサークルだが、サークル状の痕跡は環状の運河を表し、巨石は重要な建造物を表している。このモニュメント説によって、ストーンヘンジの、ほとんど全ての構造が説明可能になる。中心部に林立する巨石群は、多くの人の印象通りに神殿を表していると考えられる。つまり、アトランティスのアクロポリス上には、馬蹄形に配置された神殿群があった!という結論が導かれる。これは歴史を揺るがす大発見であろう。
《補足 ストーンヘンジ遺跡の構造は、ほぼ全てがアトランティス伝説と完全に一致を見せています。しかし、ただ一つだけ、空堀の内縁サークル(S3’)がどこにも一致していません。ただこれは、すぐ内側に木の杭サークル(S3)がある事から、空堀が中途半端に埋まった結果だと考えられ、一致が無くとも問題無いと考えています。》
重要なので、もう一度言おう。プラトンが残した伝説と、まったく同じ形の縮小モニュメントが、年代も距離も遥か遠く離れたイギリスに存在すると言う事は、プラトンが生まれる2000年以上も前に、イギリスにも正確なアトランティス伝説が存在していた事を意味する。この事実は、アトランティス伝説は『プラトンの創作では無い』という事を証明している!
しかも、ストーンヘンジは、何千年も使われ続け、遥か遠くからも巡礼者を集めていた巨大な祭祀施設であった。これは、古代人がストーンヘンジに対し、強い畏敬の念を持ち、深く崇拝していた事を意味する。つまり、古代人はストーンヘンジに対し、伝統的に『偉大な存在』を感じていた。
偉大な存在として思い浮かぶのが、超自然的な『神』だ。それは、自然現象や人や動物などの形で表される例が多い。しかし、ストーンヘンジが具現化していた物は、アトランティスの中心を象徴する『都市モニュメント』である。つまり、ストーンヘンジで崇拝されていたのは、アトランティスという『国の記憶』なのだ!
もはや、ストーンヘンジは謎の遺跡ではない。そして、巨大なストーンヘンジ遺跡全体が、アトランティスの実在を証明する完全なる『考古学的証拠』である!と断定されるのだ。
————本書から、最初に出て来た知識は、ストーンヘンジの本当の姿だ。この発見により、アトランティスが実在した事が、世界で初めて『証明』された事になる。
《補足 ストーンヘンジとアトランティスの一致は、要はデザインが類似しているか否かの問題なので、たとえ素人でも直感的に正しく判断できるはずです。しかし、ほとんどの人は権威ある学者の言葉を鵜呑みにし、まるで宗教のように信じ込み、自分の目すら否定します。その姿はまるで、童話『裸の王様』に出てくる人々のようです……。
できる事なら、本書に書かれた内容を普通に理解して、自分の力で「常識の壁」を壊して欲しいと思います。》
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